営業を楽しくさせる法則Ⅰ・Ⅱ



1.「営業を楽しくさせれば、売上は後からついてくる」
私が営業駆け出しの頃、あまりに訪問先で拒否ばかりされ、ついには出社拒否症に近い状態となったことがありました。「営業はなんて大変な仕事なのだろう。自分には向いてない」。そんなことを思いながら3ヶ月間売上ゼロが続き、会社でも精神的に追い込まれていました。そんな折、藁をもすがる思いで同じ営業でトップクラスの成績を収めていた先輩に相談すると、一言「お前は営業を楽しんでないな」と言われたのです。そして「営業を楽しくさせれば売上は自然に上がっていくぞ」と。
当時の私は、自分が地獄の日々を送っていると感じていました。主に営業させて頂いたのは幼児を育てる家庭の主婦が中心で、中には大層きれいな方もいらっしゃったのですが、その方々の顔が失礼ながら鬼に見えていたほどです。しかし先輩は「お前は羨ましいな。毎日、若い女性と話ができるんだからな」とおっしゃる。先輩が口にしたそれらの言葉にハッとした私は、「営業を楽しもう」と決心したのです。
そのように心を切り替えて営業に臨むうち、次第にお客様に会うことが楽しみになってきました。そしていつしか私は商談そっちのけでプライベートな話を引き出すようになっていき、それとともに売上も上がりはじめたのです。商品の売り込みをしていないのに売れ始めたことを先輩に報告した時に、「やっと営業がわかってきたな。お客も会話を楽しみたいんだ。お前は商品じゃなくて自分を売り込んでいたんだよ」と、ニッコリ微笑んでくれたシーンは今でも忘れません。
こうして、毎日お客様と出会うことが楽しみになると同時に私の売上成績はうなぎ登りとなり、最初に先輩に相談してから10ヶ月が経った頃には、私はトップ営業マンに名を連ねていました。今振り返ってみても、「営業を楽しむ心」こそが営業の原点であるのだと、しみじみ感じます。
2.「会話を楽しむ商談が売上を生む」という法則
私はサラリーマンを辞め独立してから、今までセミナーや研修で述べ6500人以上の営業マンと接して来ました。営業研修のプレゼンテーションの講座では受講者によくロールプレイングをして貰います。すると当然のように売れている人と売れていない人の差が歴然と現れてしまいます。ではその境界線とは何なのか、話の上手い下手ではないのですね。
売れてない人はひたすら商品説明に終始してしまうことです。無論、商談とは自社商品の説明をし、他社にない独自性や利便性をアピールすることではありますが、そこに落とし穴があります。売れている営業マンは一度、本線から逸脱させるのです。つまり商品の話から別な話に切り替えるという術を心得ています。どんなに優れた商品であっても、それを媒介する営業マンによって左右することは言うまでもありませんね。「お客様と心を通わせる」ことは商品説明のやり取りだけでは無理です。個人的な話題に触れます。お客様には人それぞれ家族があり、出身地をもち、何らかの趣味を持っています。特に趣味についてはその方が一番関心がある自慢したいネタでもあるわけです。そうした話を商談がちょっと膠着した折に振るのですね。するとお客様はドンドン話してくれます。そして質問した営業マンであるあなたはその話にうなずき、感心し、褒め、知らない世界を知ることが出来た喜びや驚きを表現します。こうした内容によってあなた自身が会話を楽しむことが出来るのです。
この段階から、例えば法人営業であれば会社対会社の関係から個人対個人の関係へと変化し、お客様との距離は一気に縮まります。あなた自身もワクワクした気持ちとなり、固い話が笑顔に変わります。一つの商談で逸脱する場面を強いて作ること、それが会話を楽しむ商談となり、売上を生んで行くのですね。
3.「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」
「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」、こんなことが売れる法則だと言うと、世の営業部長からお叱りを受けそうですね。私も3社で16年間営業部長をさせて頂きました。毎月、売上必達目標に縛られた経験からすれば、まったくのナンセンスと受け取られても仕方ないと思います。
営業マンは常にお客様から契約を取ろうとします。すると営業マンの心には契約に執着する気持ちが生まれます。すると、そんなガツガツした姿勢が言動に出てしまい、お客様に「この営業マンは契約を取りたい一心で焦っている」と感じさせてしまうわけです。そんな気持ちを落ち着かせるために必要なのが心の余裕であり、余裕を生み出すのが、「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という考え方なのです。
心に余裕をもつことで、「お客様との会話を楽しもう」という意識が芽生えます。それによってお客様の波長に営業マン自らが合わせられるようになり、契約の間合いを客観的に見つめられるようになります。そして、契約締結に向けての階段を一段一段ゆっくり上げていき、囲い込みのシナリオを描くわけです。時にはクロージングでお客様が難色を示すこともありますが、そんな時に一度話題を変えることにも繋がります。
少し話はそれますが、私は小学生から家族麻雀をして育ちました。父や兄姉と一緒に打つ中で強くなりたい一心で雀卓を囲んだものです。しかし、いつまで経っても強くならない。ところがある日を境に負けなくなりました。麻雀をやる方はおわかりになると思いますが、麻雀は東局南局で最低8回戦を争うゲームです。それまでの私は毎局上がろうと必死でした。しかし、それでは自らの上がりのために危険な牌を突っ張ることになり、結果として痛手を被る回数が増えてしまいます。麻雀は基本的に、振り込まなければ大きな失点を喫することはそうそうありません。ですからあくまで振り込まないように打ち回し、8回戦の内1~2回だけ上がればいい、と思うようになったのです。
営業も麻雀と似た傾向があります。すべてのお客様と契約できたら、あなたは天に登ってしまうでしょう(笑)。100打数100安打なんてイチローだってできません。「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という心の余裕をもつことによって、焦りが消え、心の通った営業ができるようになります。そして確実に売上は後からついて来ることを知ってください。

4/11 テーマ:「営業を楽しくさせる法則Ⅰ」

4/12 テーマ:「営業を楽しくさせる法則Ⅱ」


1.「営業を楽しくさせれば、売上は後からついてくる」

私が営業駆け出しの頃、あまりに訪問先で拒否ばかりされ、ついには出社拒否症に近い状態となったことがありました。「営業はなんて大変な仕事なのだろう。自分には向いてない」。そんなことを思いながら3ヶ月間売上ゼロが続き、会社でも精神的に追い込まれていました。そんな折、藁をもすがる思いで同じ営業でトップクラスの成績を収めていた先輩に相談すると、一言「お前は営業を楽しんでないな」と言われたのです。そして「営業を楽しくさせれば売上は自然に上がっていくぞ」と。

当時の私は、自分が地獄の日々を送っていると感じていました。主に営業させて頂いたのは幼児を育てる家庭の主婦が中心で、中には大層きれいな方もいらっしゃったのですが、その方々の顔が失礼ながら鬼に見えていたほどです。しかし先輩は「お前は羨ましいな。毎日、若い女性と話ができるんだからな」とおっしゃる。先輩が口にしたそれらの言葉にハッとした私は、「営業を楽しもう」と決心したのです。

そのように心を切り替えて営業に臨むうち、次第にお客様に会うことが楽しみになってきました。そしていつしか私は商談そっちのけでプライベートな話を引き出すようになっていき、それとともに売上も上がりはじめたのです。商品の売り込みをしていないのに売れ始めたことを先輩に報告した時に、「やっと営業がわかってきたな。お客も会話を楽しみたいんだ。お前は商品じゃなくて自分を売り込んでいたんだよ」と、ニッコリ微笑んでくれたシーンは今でも忘れません。

こうして、毎日お客様と出会うことが楽しみになると同時に私の売上成績はうなぎ登りとなり、最初に先輩に相談してから10ヶ月が経った頃には、私はトップ営業マンに名を連ねていました。今振り返ってみても、「営業を楽しむ心」こそが営業の原点であるのだと、しみじみ感じます。


2.「会話を楽しむ商談が売上を生む」という法則

私はサラリーマンを辞め独立してから、今までセミナーや研修で述べ8000人以上の営業マンと接して来ました。営業研修のプレゼンテーションの講座では受講者によくロールプレイングをして貰います。すると当然のように売れている人と売れていない人の差が歴然と現れてしまいます。ではその境界線とは何なのか、話の上手い下手ではないのですね。

売れてない人はひたすら商品説明に終始してしまうことです。無論、商談とは自社商品の説明をし、他社にない独自性や利便性をアピールすることではありますが、そこに落とし穴があります。売れている営業マンは一度、本線から逸脱させるのです。つまり商品の話から別な話に切り替えるという術を心得ています。どんなに優れた商品であっても、それを媒介する営業マンによって左右することは言うまでもありませんね。「お客様と心を通わせる」ことは商品説明のやり取りだけでは無理です。個人的な話題に触れます。お客様には人それぞれ家族があり、出身地をもち、何らかの趣味を持っています。特に趣味についてはその方が一番関心がある自慢したいネタでもあるわけです。そうした話を商談がちょっと膠着した折に振るのですね。するとお客様はドンドン話してくれます。そして質問した営業マンであるあなたはその話にうなずき、感心し、褒め、知らない世界を知ることが出来た喜びや驚きを表現します。こうした内容によってあなた自身が会話を楽しむことが出来るのです。

この段階から、例えば法人営業であれば会社対会社の関係から個人対個人の関係へと変化し、お客様との距離は一気に縮まります。あなた自身もワクワクした気持ちとなり、固い話が笑顔に変わります。一つの商談で逸脱する場面を強いて作ること、それが会話を楽しむ商談となり、売上を生んで行くのですね。


3.「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」

「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」、こんなことが売れる法則だと言うと、世の営業部長からお叱りを受けそうですね。私も3社で16年間営業部長をさせて頂きました。毎月、売上必達目標に縛られた経験からすれば、まったくのナンセンスと受け取られても仕方ないと思います。

営業マンは常にお客様から契約を取ろうとします。すると営業マンの心には契約に執着する気持ちが生まれます。すると、そんなガツガツした姿勢が言動に出てしまい、お客様に「この営業マンは契約を取りたい一心で焦っている」と感じさせてしまうわけです。そんな気持ちを落ち着かせるために必要なのが心の余裕であり、余裕を生み出すのが、「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という考え方なのです。

心に余裕をもつことで、「お客様との会話を楽しもう」という意識が芽生えます。それによってお客様の波長に営業マン自らが合わせられるようになり、契約の間合いを客観的に見つめられるようになります。そして、契約締結に向けての階段を一段一段ゆっくり上げていき、囲い込みのシナリオを描くわけです。時にはクロージングでお客様が難色を示すこともありますが、そんな時に一度話題を変えることにも繋がります。

少し話はそれますが、私は小学生から家族麻雀をして育ちました。父や兄姉と一緒に打つ中で強くなりたい一心で雀卓を囲んだものです。しかし、いつまで経っても強くならない。ところがある日を境に負けなくなりました。麻雀をやる方はおわかりになると思いますが、麻雀は東局南局で最低8回戦を争うゲームです。それまでの私は毎局上がろうと必死でした。しかし、それでは自らの上がりのために危険な牌を突っ張ることになり、結果として痛手を被る回数が増えてしまいます。麻雀は基本的に、振り込まなければ大きな失点を喫することはそうそうありません。ですからあくまで振り込まないように打ち回し、8回戦の内1~2回だけ上がればいい、と思うようになったのです。

営業も麻雀と似た傾向があります。すべてのお客様と契約できたら、あなたは天に登ってしまうでしょう(笑)。100打数100安打なんてイチローだってできません。「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という心の余裕をもつことによって、焦りが消え、心の通った営業ができるようになります。そして確実に売上は後からついて来ることを知ってください(カンパニータンク誌より抜粋)



4月12日「営業を楽しくさせる法則 Ⅱ」


売れている営業マンは営業を楽しくさせる手法を持っています。特に売上が低迷している時、自らを鼓舞して無理やり楽しみを見出す手法とでも言いましょうか。スランプに陥った自身を、考え方の変革によって売れる方向へと切り替えるための手法なのです。今回は前号に引き続き、「営業を楽しくさせる法則2」をお届け致します。


1.人と会い、話すことが楽しくなる法則

営業という仕事は人と会い商談しなければ1円にもなりません。人と会うこと、話をすることが課せられた業務です。そうかと言って、ボランティアや趣味で人と会っているのではなく、最後は契約締結し、売上をあげねばなりません。つまり商談の暁には、成果に結び付けなければならないことは当然ですね。

営業マンは調子が良い時は「どんな人でも契約出来ない気持ちがしない」という状況となりますが、スランプに陥ると、見込客は量産されても、契約に至らないケースが続出します。もがき、焦り、出口の見えないトンネルに入ったかのように、いつまで経っても見込みスパイラルから脱却出来ません。私も何度もこの壁にぶち当たりました。

そんな時、売れている営業マンは切り替えの仕方を知っています。


では、どのように自身を変革するのでしょうか?

それは一言でいえば、「人と会い、話すことを楽しみに変える」ことです。「いやいや、契約してくれない商談は苦しい」という声が聞こえて来そうですが、実はここが肝心要です。

営業マンにとって「契約してくれるお客は良い人、契約しないお客は悪い人」という差別をしがちです。つまり、商談相手はあなたにとって、売上をあげる対象としか見れなくなってしまうからです。この考え方こそ変えねばなりません。売れても売れなくても、それは結果論だと割り切れるかどうかです。ルート営業でない場合、顧客は常に新規客という方もいるでしょう。自身の良好な心理状況を保つためにも、敢えて商談を、会話を、楽しむのです。

人それぞれに、その人なりの独自世界を持っています。役職に関係なく、今まで生きて来たヒストリーがあります。よって商品から一旦離れ、お客様の人となりや、背景を引き出すのです。するとお客様は売り込まれてないので、関心がありそうな話題を振ることによってドンドンしゃべるようになります。聞き手であるあなたは知らない世界を聞くわけですから興味が湧き、突っ込んだ話が展開出来ます。また、会社にも歴史があります。創業から現在に至るまで、どこの会社も浮き沈みがあり、リーマンショックや東日本大震災も経験しています。その時の状況を聞き出し、どうやって這い上がったのか、あるいは会社として何を目指し、何を心掛けて来たのか、社員の特徴は何か、今、何に困っているのか、さらに、その担当者の立場にも触れます。社内での移動の話、毎日何時まで仕事をしているのか等々、聞き出すネタは多々ありますね。こんな話をしているとお客様から愚痴めいた話が出てくることもあります。あなたは同調し、大いに頷き、共感してあげてください。商品の話ではありませんから、あなた自身が楽しくなります。


出会う人=商談の数だけ、新しい話が聞ける。新しい発見がある。あなたはワクワクした気持ちで1社1社のお客様と接するようになります。例え、契約に至らなかったとしても、間違いなくあなたのテンションは上がって行きます。このリズムが契約に繋げられるお客様を呼び込むのですね。

私のエピソードを一つご紹介しましょう。ある時、売れない状態が続きました。どこに行っても我社の新商品に関心を持ってくれません。そんな時にたまたま店長の年収の話になりました。今、思えば意図的に振ったのではないのですが、尋ねるとその店長は1700万円貰っているとのこと、私は椅子からずれ落ちそうになる程、驚いたものです。自慢したかったのでしょうね。その方の会社は派閥があり、会長閥に属しているとのこと。そこに至るまでの社内人事抗争や顧客との接し方等々、延々と私は1時間も質疑応答を繰り返していました。聞き終わった最後に「今日は貴重なお話を聞けてありがとうございました」と言って、パンフレットを片付け、帰ろうとすると、「何、帰ろうとしているの? 契約するから契約書は?」と聞かれたのです。私は我が耳を疑いました。結果的にその店長は会長閥の4店舗に一挙に導入を決めてくれたのでした。これすべて楽しい話をした結果でした。

また、ある新規客を訪問した折のこと。その部長は名刺を出した瞬間から、傲慢な態度。そして最後に、「高いんだよ、うちはこんな仕切りじゃやらないよ」とばっさり。その後、私は商品の話には一切触れず、その方の苦労話を引き出して行ったのです。すると意外にも情が深く、面倒見の良い一面を発見したのです。私はお世辞ではなく、本音で褒めていました。1時間後、大口の新規口座を作ってくれました。


さあ、あなたが今、売上低迷に悩んでいたとしたら、人と会い、話すことが楽しくなる話題を振ることです。必ず結果はついて来ます。よろしいですか? 商品の話に終始してしまっているから楽しくならないのですよ。

2.「社内の仲間が大好き、社内のつきあいを大事にする」という法則

売れている営業マンに共通する2つ目のポイント、それは「社内の仲間が大好きで、且つ、社内の付き合いを大事にしている」という法則です。

「社内なんか関係ない、オレは取引先のことしか頭にない!」との反論が返って来そうですね。ところが社内の人間関係に売れる法則が隠されているのです。

売れている営業マンは社内でも人気者です。なぜなら社内の仲間が大好きだからです。こちらが好きになるからこそ、相手も好いてくれるという構図です。社内では嫌われ者、しかし、トップ営業マンなんてケースを、私は一度も見たことがありません。

では、なぜこうした構図が生まれるのでしょうか?

売れる営業マンは苦手なタイプがありません。苦手なタイプを作らないように努めているからです。社内ではよく飲みニケーションといって、同僚や先輩との飲み会がよく行われます。私は仕事以上に夜のつきあいが好き(笑)で、営業部長時代は意図的に行なっていました。部下は勿論のこと、仕事上でしか接していなかった他部署の人をも誘い、飲んだものです。そして一度飲みの世界に入ると、嫌われ者と言われていた人が、実は苦労人だったり、他人のことを心配し、会社のために尽力していたりと、認識を新たにすることがよくありました。表面的には苦手なタイプだと感じていた人が、飲んで話してみると「いい奴」だったり、したものです。

この辺りから私は人を印象だけで判断しなくなりました。みんな良いところを持っている。長所を探し、認めてあげようと考えれば、苦手なタイプは少なくなります。いつしか私は誰とでも仲良くなれるようになりました。


「社内の人間が大好き、社内の付き合いを大事にする」ことが、お客様に対する接し方のバロメーターになっているように思えてなりません。

もし、あなたが社内の人間から好かれていないと感じ、社内の付き合いも拒否しているとしたら危険信号だと知ってください。

考えてみれば職場は家族よりも長い時間を過ごしている空間です。まずは社内の人たちを好きになってください。そのためには出来る限り、個別に話す機会を作り、本音で語り、相手のことを知る努力をしてください。見かけや普段の言動で人物像を既定してはいけません。どんな人でも必ず持ち合わせている長所を探し、見つめ、認める努力をすることによって、どんな人でも好感を抱ける素地が出来るのだと思います。そして、社内での良好な関係を築くことが、営業を楽しくさせることに繋がることを銘記していただきたいものです(カンパニータンク誌より抜粋)



3.「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」
「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」、こんなことが売れる法則だと言うと、世の営業部長からお叱りを受けそうですね。私も3社で16年間営業部長をさせて頂きました。毎月、売上必達目標に縛られた経験からすれば、まったくのナンセンスと受け取られても仕方ないと思います。
営業マンは常にお客様から契約を取ろうとします。すると営業マンの心には契約に執着する気持ちが生まれます。すると、そんなガツガツした姿勢が言動に出てしまい、お客様に「この営業マンは契約を取りたい一心で焦っている」と感じさせてしまうわけです。そんな気持ちを落ち着かせるために必要なのが心の余裕であり、余裕を生み出すのが、「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という考え方なのです。
心に余裕をもつことで、「お客様との会話を楽しもう」という意識が芽生えます。それによってお客様の波長に営業マン自らが合わせられるようになり、契約の間合いを客観的に見つめられるようになります。そして、契約締結に向けての階段を一段一段ゆっくり上げていき、囲い込みのシナリオを描くわけです。時にはクロージングでお客様が難色を示すこともありますが、そんな時に一度話題を変えることにも繋がります。
少し話はそれますが、私は小学生から家族麻雀をして育ちました。父や兄姉と一緒に打つ中で強くなりたい一心で雀卓を囲んだものです。しかし、いつまで経っても強くならない。ところがある日を境に負けなくなりました。麻雀をやる方はおわかりになると思いますが、麻雀は東局南局で最低8回戦を争うゲームです。それまでの私は毎局上がろうと必死でした。しかし、それでは自らの上がりのために危険な牌を突っ張ることになり、結果として痛手を被る回数が増えてしまいます。麻雀は基本的に、振り込まなければ大きな失点を喫することはそうそうありません。ですからあくまで振り込まないように打ち回し、8回戦の内1~2回だけ上がればいい、と思うようになったのです。
営業も麻雀と似た傾向があります。すべてのお客様と契約できたら、あなたは天に登ってしまうでしょう(笑)。100打数100安打なんてイチローだってできません。「売れなくて当たり前、売れたら儲けもの」という心の余裕をもつことによって、焦りが消え、心の通った営業ができるようになります。そして確実に売上は後からついて来ることを知ってください。
4月12日「営業を楽しくさせる手法Ⅱ」
売れている営業マンは営業を楽しくさせる手法を持っています。特に売上が低迷している時、自らを鼓舞して無理やり楽しみを見出す手法とでも言いましょうか。スランプに陥った自身を、考え方の変革によって売れる方向へと切り替えるための手法なのです。今回は前号に引き続き、「営業を楽しくさせる法則2」をお届け致します。
1.人と会い、話すことが楽しくなる法則
営業という仕事は人と会い商談しなければ1円にもなりません。人と会うこと、話をすることが課せられた業務です。そうかと言って、ボランティアや趣味で人と会っているのではなく、最後は契約締結し、売上をあげねばなりません。つまり商談の暁には、成果に結び付けなければならないことは当然ですね。
営業マンは調子が良い時は「どんな人でも契約出来ない気持ちがしない」という状況となりますが、スランプに陥ると、見込客は量産されても、契約に至らないケースが続出します。もがき、焦り、出口の見えないトンネルに入ったかのように、いつまで経っても見込みスパイラルから脱却出来ません。私も何度もこの壁にぶち当たりました。
そんな時、売れている営業マンは切り替えの仕方を知っています。
では、どのように自身を変革するのでしょうか?
それは一言でいえば、「人と会い、話すことを楽しみに変える」ことです。「いやいや、契約してくれない商談は苦しい」という声が聞こえて来そうですが、実はここが肝心要です。
営業マンにとって「契約してくれるお客は良い人、契約しないお客は悪い人」という差別をしがちです。つまり、商談相手はあなたにとって、売上をあげる対象としか見れなくなってしまうからです。この考え方こそ変えねばなりません。売れても売れなくても、それは結果論だと割り切れるかどうかです。ルート営業でない場合、顧客は常に新規客という方もいるでしょう。自身の良好な心理状況を保つためにも、敢えて商談を、会話を、楽しむのです。
人それぞれに、その人なりの独自世界を持っています。役職に関係なく、今まで生きて来たヒストリーがあります。よって商品から一旦離れ、お客様の人となりや、背景を引き出すのです。するとお客様は売り込まれてないので、関心がありそうな話題を振ることによってドンドンしゃべるようになります。聞き手であるあなたは知らない世界を聞くわけですから興味が湧き、突っ込んだ話が展開出来ます。また、会社にも歴史があります。創業から現在に至るまで、どこの会社も浮き沈みがあり、リーマンショックや東日本大震災も経験しています。その時の状況を聞き出し、どうやって這い上がったのか、あるいは会社として何を目指し、何を心掛けて来たのか、社員の特徴は何か、今、何に困っているのか、さらに、その担当者の立場にも触れます。社内での移動の話、毎日何時まで仕事をしているのか等々、聞き出すネタは多々ありますね。こんな話をしているとお客様から愚痴めいた話が出てくることもあります。あなたは同調し、大いに頷き、共感してあげてください。商品の話ではありませんから、あなた自身が楽しくなります。
出会う人=商談の数だけ、新しい話が聞ける。新しい発見がある。あなたはワクワクした気持ちで1社1社のお客様と接するようになります。例え、契約に至らなかったとしても、間違いなくあなたのテンションは上がって行きます。このリズムが契約に繋げられるお客様を呼び込むのですね。
私のエピソードを一つご紹介しましょう。ある時、売れない状態が続きました。どこに行っても我社の新商品に関心を持ってくれません。そんな時にたまたま店長の年収の話になりました。今、思えば意図的に振ったのではないのですが、尋ねるとその店長は1700万円貰っているとのこと、私は椅子からずれ落ちそうになる程、驚いたものです。自慢したかったのでしょうね。その方の会社は派閥があり、会長閥に属しているとのこと。そこに至るまでの社内人事抗争や顧客との接し方等々、延々と私は1時間も質疑応答を繰り返していました。聞き終わった最後に「今日は貴重なお話を聞けてありがとうございました」と言って、パンフレットを片付け、帰ろうとすると、「何、帰ろうとしているの? 契約するから契約書は?」と聞かれたのです。私は我が耳を疑いました。結果的にその店長は会長閥の4店舗に一挙に導入を決めてくれたのでした。これすべて楽しい話をした結果でした。
また、ある新規客を訪問した折のこと。その部長は名刺を出した瞬間から、傲慢な態度。そして最後に、「高いんだよ、うちはこんな仕切りじゃやらないよ」とばっさり。その後、私は商品の話には一切触れず、その方の苦労話を引き出して行ったのです。すると意外にも情が深く、面倒見の良い一面を発見したのです。私はお世辞ではなく、本音で褒めていました。1時間後、大口の新規口座を作ってくれました。
さあ、あなたが今、売上低迷に悩んでいたとしたら、人と会い、話すことが楽しくなる話題を振ることです。必ず結果はついて来ます。よろしいですか? 商品の話に終始してしまっているから楽しくならないのですよ。
2.「社内の仲間が大好き、社内のつきあいを大事にする」という法則
売れている営業マンに共通する2つ目のポイント、それは「社内の仲間が大好きで、且つ、社内の付き合いを大事にしている」という法則です。
「社内なんか関係ない、オレは取引先のことしか頭にない!」との反論が返って来そうですね。ところが社内の人間関係に売れる法則が隠されているのです。
売れている営業マンは社内でも人気者です。なぜなら社内の仲間が大好きだからです。こちらが好きになるからこそ、相手も好いてくれるという構図です。社内では嫌われ者、しかし、トップ営業マンなんてケースを、私は一度も見たことがありません。
では、なぜこうした構図が生まれるのでしょうか?
売れる営業マンは苦手なタイプがありません。苦手なタイプを作らないように努めているからです。社内ではよく飲みニケーションといって、同僚や先輩との飲み会がよく行われます。私は仕事以上に夜のつきあいが好き(笑)で、営業部長時代は意図的に行なっていました。部下は勿論のこと、仕事上でしか接していなかった他部署の人をも誘い、飲んだものです。そして一度飲みの世界に入ると、嫌われ者と言われていた人が、実は苦労人だったり、他人のことを心配し、会社のために尽力していたりと、認識を新たにすることがよくありました。表面的には苦手なタイプだと感じていた人が、飲んで話してみると「いい奴」だったり、したものです。
この辺りから私は人を印象だけで判断しなくなりました。みんな良いところを持っている。長所を探し、認めてあげようと考えれば、苦手なタイプは少なくなります。いつしか私は誰とでも仲良くなれるようになりました。
「社内の人間が大好き、社内の付き合いを大事にする」ことが、お客様に対する接し方のバロメーターになっているように思えてなりません。
もし、あなたが社内の人間から好かれていないと感じ、社内の付き合いも拒否しているとしたら危険信号だと知ってください。
考えてみれば職場は家族よりも長い時間を過ごしている空間です。まずは社内の人たちを好きになってください。そのためには出来る限り、個別に話す機会を作り、本音で語り、相手のことを知る努力をしてください。見かけや普段の言動で人物像を既定してはいけません。どんな人でも必ず持ち合わせている長所を探し、見つめ、認める努力をすることによって、どんな人でも好感を抱ける素地が出来るのだと思います。そして、社内での良好な関係を築くことが、営業を楽しくさせることに繋がることを銘記していただきたいものです。




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