プレゼン力を磨くⅢ~コンサル技法&体験談話法



売れない営業マンほど、一方的にしゃべり続けることで自分の意志が相手に届いていると錯覚しています。一方的なプレゼンほど響かないものはないということを改めて認識する必要があります。では、相手に響くプレゼンとはどのようなものなのか? その答えはコンサルタントへの変身が挙げられます。
1.コンサルタントへの変身
営業マンは物を売る人、コンサルタントはより良い方向へ導く相談役という定義がされます。つまり、あなたはある時からお客様の問題を解決する相談役に変身しなければなりません。では、どのように変身するのか?
その重要なキーワードが質問です。あなたは自社商品の話をしながらも、お客様へ質問をします。例えば、うちの会社は研修が商品ですので、お客様へ各種研修プログラムを提案するのですが、我が社が現在持っている講座すべてを披瀝する必要はありません。飽くまでアウトライン、概要のみをさらっと流した後、お客様のニーズがどこにあるかを探るために質問をぶつけます。
「今現在、御社では急務な課題として、人材育成の対象は管理職ですか? それとも営業マンですか? はたまた若手社員ですか?」と。
すると、「やはり管理職ですね。組織も大きくなって来ましたから、課長クラスの役割も重くなっていますね」という具合に、質問を投げることにより、相手のニーズが見えて来ます。さらにこのように質問を投げかけます。「管理職の中で、特に問題となっている要素はどのような点ですか? 因みに弊社では管理職研修を二つのカテゴリーにて分けています。1つは部下をどのように育成するかという部下育成手法と、もう一つは数字に強くなってもらうための計数管理手法ですが御社ではいかがですか?」と、そこでお客様からは「両方とも欠けていますね。それで例えば計数管理手法にはどのようなプログラムがあるのですか?」と今度はお客様が質問して来ます。
営業マン「現在、課長の皆さんには事業計画の作成はさせていますか?」、
お客様「いやいや、そこまでは強いてはいません」
営業マン「であるならば、まずは損益計算書P/Lの基礎から行い、キャッシュフロー、原価管理の入口を行いましょうか?」
お客様「そうですね、その三つとも課長には覚えてもらいたい内容ですね」
とまあ、このように展開します。
よく注視していただくと、前出のフレーズには2つの要素が盛り込まれています。質問を連続で投げることによる顧客ニーズの顕在化です。漠然と思っていたことがあなたの質問によって明確になり、ニーズがあったことに気づかせる効果です。さらに研修のプロとしてのコメント、専門家的見地からのコメントです。このような投げ掛けが営業マンからコンサルタントに変身させるフレーズとなります。
ポイントを整理しましょう。プレゼンの途中に質問を投げかけ、その質問自体に専門的なフレーズを盛り込むこと。さらに営業マンが「質問」し、お客様「応える」ことが呼び水となって、今度はお客様が「質問」し、営業マンが「応える」という呼び水ポンプ効果へと繋がります。
その際、大事なことはさりげなく専門的な素養を醸し出すことです。よく研修の際にロールプレイングを行うと、ウンチクを並べ立てる受講者に出くわします。これは逆効果で、知識を披瀝しすぎると評論家になってしまいます。評論家とコンサルタントは違います。評論家はより良い方向へ導く相談役とはならず、単なる能書きだけとなるケースが多いですから注意してください。
2.反論に対する封じ込め策~「体験談話法」
プレゼンの最中にお客様から反論されることは多々あります。
例えば、「価格が高い」「機能が不十分」「納期が遅い」「使い勝手に難あり」等々、否定的言葉が出る場面があります。その際、売れない営業マンは躍起になってお客様の反論に対抗してしまいます。この行為は本心でないお客様の反論をさらに助長させ、強固にさせてしまいます。反論に反論することは営業マンが売りたいがための説得となり、押しつけと捉えられ、営業マンのご都合主義と映ってしまうから要注意です。
仮に否定的な言葉が出ても反論せず、このように切り込みます。
「確かに他社と比べますと弊社製品は2割ほど高いのは事実です。それで先月ご契約していただいたお客様の話ですが、『後藤商事さんの製品は高いけど、やっぱり品質は抜群ですね。こんな高品質の物は他にはないですよ。安かろう、悪かろうというのはあるんですね。うちは思い切って後藤商事さんに決めて良かったですよ』と、おっしゃっていただきまして、有難かったですね」と比喩的に話すとどうでしょうか?他社のお客様がイメージされて、あなたがしゃべっているにも関わらず、説得されている感覚にはならないですね。
また別な反論の例です。「弊社製品はおっしゃる通り、○○の機能はついていません。しかしながら、先日、弊社製品をご契約していただいたお客様はこんなことをおっしゃってくれました『後藤商事さんの製品ははっきり言って○○の機能がないけど、実際問題、○○の必要性は本当にあるのだろうかと役員会議でなりましてね、結局、それはなくても構わない。それよりその機能分を差し引く形で100万円安いのなら後藤商事さんの製品で良いのではという結論になりました』とのことで、ご契約いただいたのですよ」と。
少々解説しましょう。前者は価格が高いという反論に対して営業マンであるあなたの言葉ではなく、他者の言葉を引用したところに体験談話法の真骨頂があります。後者も同様、機能性不足を逆手にとってかなり具体的に訴求した例です。不思議なもので第三者の言葉を例に出すことにより、お客様は勝手にイメージをふくらませてくれます。営業マンの口から出る言葉であっても、体験談調で話すことにより伝わり方が違うから不思議です。
では、体験談話法を組み立てる際に大事なポイントを述べましょう。
①「契約したお客様が語った言葉遣いをそのまま引用すること」です。言い回し、表現方法をお客様のコピー版として話すことでリアル感が出ます。
②「より具体的な状況描写」を心掛けることで、こちらもリアルにイメージしてもらうことが出来ます。
あなたがプレゼンする際に、お客様からよく出る反論言葉というものはそう多くはないはずです。決まり文句のように出てくる反論もあります。ですから、あなたは予め、予測される反論に対して体験談を組み立てておくことです。過去のお客様に体験談としてまとめるほどのネタがなくとも構いません。他の営業マンから仕入れたり、場合によっては創作しても良いのです。要は体験談として話し、あなたの言葉で反論しなければいいわけですから、是非とも体験談集をまとめてみてください(カンパニータンク誌より抜粋)

売れない営業マンほど、一方的にしゃべり続けることで自分の意志が相手に届いていると錯覚しています。一方的なプレゼンほど響かないものはないということを改めて認識する必要があります。では、相手に響くプレゼンとはどのようなものなのか? その答えはコンサルタントへの変身が挙げられます。


1.コンサルタントへの変身

営業マンは物を売る人、コンサルタントはより良い方向へ導く相談役という定義がされます。つまり、あなたはある時からお客様の問題を解決する相談役に変身しなければなりません。では、どのように変身するのか?

その重要なキーワードが質問です。あなたは自社商品の話をしながらも、お客様へ質問をします。例えば、うちの会社は研修が商品ですので、お客様へ各種研修プログラムを提案するのですが、我が社が現在持っている講座すべてを披瀝する必要はありません。飽くまでアウトライン、概要のみをさらっと流した後、お客様のニーズがどこにあるかを探るために質問をぶつけます。

「今現在、御社では急務な課題として、人材育成の対象は管理職ですか? それとも営業マンですか? はたまた若手社員ですか?」と。

すると、「やはり管理職ですね。組織も大きくなって来ましたから、課長クラスの役割も重くなっていますね」という具合に、質問を投げることにより、相手のニーズが見えて来ます。さらにこのように質問を投げかけます。「管理職の中で、特に問題となっている要素はどのような点ですか? 因みに弊社では管理職研修を二つのカテゴリーにて分けています。1つは部下をどのように育成するかという部下育成手法と、もう一つは数字に強くなってもらうための計数管理手法ですが御社ではいかがですか?」と、そこでお客様からは「両方とも欠けていますね。それで例えば計数管理手法にはどのようなプログラムがあるのですか?」と今度はお客様が質問して来ます。

営業マン「現在、課長の皆さんには事業計画の作成はさせていますか?」、

お客様「いやいや、そこまでは強いてはいません」

営業マン「であるならば、まずは損益計算書P/Lの基礎から行い、キャッシュフロー、原価管理の入口を行いましょうか?」

お客様「そうですね、その三つとも課長には覚えてもらいたい内容ですね」

とまあ、このように展開します。

よく注視していただくと、前出のフレーズには2つの要素が盛り込まれています。質問を連続で投げることによる顧客ニーズの顕在化です。漠然と思っていたことがあなたの質問によって明確になり、ニーズがあったことに気づかせる効果です。さらに研修のプロとしてのコメント、専門家的見地からのコメントです。このような投げ掛けが営業マンからコンサルタントに変身させるフレーズとなります。

ポイントを整理しましょう。プレゼンの途中に質問を投げかけ、その質問自体に専門的なフレーズを盛り込むこと。さらに営業マンが「質問」し、お客様「応える」ことが呼び水となって、今度はお客様が「質問」し、営業マンが「応える」という呼び水ポンプ効果へと繋がります。

その際、大事なことはさりげなく専門的な素養を醸し出すことです。よく研修の際にロールプレイングを行うと、ウンチクを並べ立てる受講者に出くわします。これは逆効果で、知識を披瀝しすぎると評論家になってしまいます。評論家とコンサルタントは違います。評論家はより良い方向へ導く相談役とはならず、単なる能書きだけとなるケースが多いですから注意してください。


2.反論に対する封じ込め策~「体験談話法」

プレゼンの最中にお客様から反論されることは多々あります。

例えば、「価格が高い」「機能が不十分」「納期が遅い」「使い勝手に難あり」等々、否定的言葉が出る場面があります。その際、売れない営業マンは躍起になってお客様の反論に対抗してしまいます。この行為は本心でないお客様の反論をさらに助長させ、強固にさせてしまいます。反論に反論することは営業マンが売りたいがための説得となり、押しつけと捉えられ、営業マンのご都合主義と映ってしまうから要注意です。

仮に否定的な言葉が出ても反論せず、このように切り込みます。

「確かに他社と比べますと弊社製品は2割ほど高いのは事実です。それで先月ご契約していただいたお客様の話ですが、『後藤商事さんの製品は高いけど、やっぱり品質は抜群ですね。こんな高品質の物は他にはないですよ。安かろう、悪かろうというのはあるんですね。うちは思い切って後藤商事さんに決めて良かったですよ』と、おっしゃっていただきまして、有難かったですね」と比喩的に話すとどうでしょうか?他社のお客様がイメージされて、あなたがしゃべっているにも関わらず、説得されている感覚にはならないですね。

また別な反論の例です。「弊社製品はおっしゃる通り、○○の機能はついていません。しかしながら、先日、弊社製品をご契約していただいたお客様はこんなことをおっしゃってくれました『後藤商事さんの製品ははっきり言って○○の機能がないけど、実際問題、○○の必要性は本当にあるのだろうかと役員会議でなりましてね、結局、それはなくても構わない。それよりその機能分を差し引く形で100万円安いのなら後藤商事さんの製品で良いのではという結論になりました』とのことで、ご契約いただいたのですよ」と。

少々解説しましょう。前者は価格が高いという反論に対して営業マンであるあなたの言葉ではなく、他者の言葉を引用したところに体験談話法の真骨頂があります。後者も同様、機能性不足を逆手にとってかなり具体的に訴求した例です。不思議なもので第三者の言葉を例に出すことにより、お客様は勝手にイメージをふくらませてくれます。営業マンの口から出る言葉であっても、体験談調で話すことにより伝わり方が違うから不思議です。

では、体験談話法を組み立てる際に大事なポイントを述べましょう。

①「契約したお客様が語った言葉遣いをそのまま引用すること」です。言い回し、表現方法をお客様のコピー版として話すことでリアル感が出ます。

②「より具体的な状況描写」を心掛けることで、こちらもリアルにイメージしてもらうことが出来ます。

あなたがプレゼンする際に、お客様からよく出る反論言葉というものはそう多くはないはずです。決まり文句のように出てくる反論もあります。ですから、あなたは予め、予測される反論に対して体験談を組み立てておくことです。過去のお客様に体験談としてまとめるほどのネタがなくとも構いません。他の営業マンから仕入れたり、場合によっては創作しても良いのです。要は体験談として話し、あなたの言葉で反論しなければいいわけですから、是非とも体験談集をまとめてみてください(カンパニータンク誌より抜粋)



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